中高生対象 盤洲干潟 海の探究プログラム〜フィールドキャンプ〜

◆実施場所:木更津市みたて海岸、小櫃川河口干潟、畔戸地区、およびその周辺
◆実施日:2026年7月26日(日)〜28日(火)
◆参加者:中学生5名・高校生3名
◆主催:海の環境教育NPO bridge & 干潟HAKKENプロジェクト
◆協力:金田漁業協同組合・木更津市観光協会・木更津市環境政策課・新渡戸文化学園
概要
中高生が、干潟でのキャンプ体験を通して、自分の興味に基づいた探究テーマを設定し、担当教員やメンターの併走のもと、その後半年間にわたって学びを深めていく。
東京湾に奇跡的に残った”ディズニーシー 25個分”もの広大な「盤洲干潟」の自然体験と漁業者の話、周辺地区の散策…、そして干潟の中に浮かぶように造られたキャンプ場での生活等から、参加者個々が何を掴むのか・・・。それはスタッフにとってもワクワクするような出会いと発見です。
【干潟HAKEENプロジェクト】
2年目となった2026年のキャンプは、猛暑が予想された夏休みの開催。朝夕の比較的涼しい時間帯に自然体験の時間を設け、日中は地域の店舗での買い物(視察)やレクチャー等の室内活動に当てました。スケジュール後半は、できるだけ生徒の主体性を尊重し内容を決めていきます。
参加者は都内の中高一貫校から4名、一般公募4名の計8名。スタッフは、メンターと地域協力者を含めて、総勢13名。ちょっと拡大家族の夏休みのようなキャンプとなりました。
この後、9月下旬の情報交換会を経て、3月上旬にアクションプランの発表を行う予定です。
*本事業は、学校・NPO・地域が連携して行う年間型の探究学習プログラムです。
活動の詳細は「実施レポート(PDF)」からご覧いただけます
活動の様子(ダイジェスト)
■オリエンテーション
最初の顔合わせは、干潟に近い集落にある公民館で。気がつくと、高学年の参加者のリードで自然と自己紹介がはじまっていました。スケジュールや注意事項の説明のあとは、プロジェクトだけの専用アプリ『みつけた!』の解説。みんなの発見がアプリを介して、どんな相乗効果をつくるのか…。初対面のドキドキとワクワクが交差した時間でした。

■漁師飯に挑戦!
夕食はまず、盤州干潟周辺で獲れた魚をさばくことから。最初は恐る恐る魚を触った参加者も、スタッフの指導でなかなかの腕前になっていました。この大きな魚が、今も東京湾で穫れていることを、実感として味わってもらえていたら嬉しいです。3種類のお刺身の味の違いも語り、なかなかの食通に。
地元漁師の間で「鉄砲巻き」として伝えられる海苔巻きは、具に醤油にまぶした鰹節を入れて巻き、切らずに食べます。操船をしながら片手で食べられるため、漁師たちのお弁当にされていたそうです。自分で巻いた「鉄砲巻き」のお味は? 海苔はもちろん、地元金田産!


■小櫃川河口干潟(前浜干潟・後背湿地)の自然観察
上流から川によって運ばれた砂や泥が堆積し、陸から海へと緩やかに環境が変わる場所。それが干潟。広大な盤州干潟のなかでも、その「陸から海へ変化する自然」がほぼ手付かずのまま見られるのが、この小櫃川河口です。今回も市のご協力を得て、貴重な地域を観察させていただきました。低木が茂る薮を抜け、背の高さを越える芦原を進むと、いきなり広大な干潟が現れます。
薮のなか、芦原、干潟。それぞれに異なる生物や、その痕跡を探すと…。最初に参加者の目を引いたのは、その多さと多様さで毎回驚かされるカニの仲間です。次第に目が慣れてくると、貝やヤドカリ、小魚、不思議な様相の小動物へと興味は広がり、観察時間はあっという間に予定を超えて、慌ただしく終了となりました。


■地元漁師さんから海苔養殖と環境の話
陸上で行われる種付けの準備から、海上での準備・収穫、撤去…と続く、年間を通した海苔養殖の作業内容の説明。加えて、養殖と環境の関係のお話もお聞きしました。海苔養殖の大変さと面白さをたっぷりと聞くことができ、サポーターも興味津々。やはり現場の方の話は、複雑な現実をリアルに伝え、課題と共に、前向きなエネルギーを与えてくれます。

■漁業現場の視察
海藻は陸上の植物よりも一足先、冬の寒い時期に芽を出し、春にかけて勢いよく育ちます。「海苔養殖」の海上作業も冬から春にかけてが、繁忙期。でも、網洗いや種付けなど、その準備は暑い夏の日差しを避けて、地道に行われていました。

早朝に行われていた「海苔網」を整える作業を見学

一緒に、置かれていたアサリ漁の網の弾き方も学ぶ。
■3日間の振り返り~個別興味の洗い出し~
最終日の午後は地域の会議室を借りて、3日間の「体験の振り返り」を行いました。
同じ体験をしても、一人一人の心に残っている風景はさまざま。気づきや興味も多様です。
言葉になっていない想いを、サポーターとの会話を通して、自身の「気づき」や「関心」としてまとめていきます。そこから拾った個々の「探究の種」がこの後どのようなテーマとなって芽を出すのか…。参加者一人一人のペースで時間をかけて併走していきたいと思います。


〜フィールドキャンプを終えて〜
真っ青な海が広がるでもない、深い海にジャンプができるわけでもない…。広大な原っぱのような芦原を抜け、だだっ広いグレーの大地を歩きまわり、小さな生きものを探していつしかしゃがみ込む、ひざまずく、水中眼鏡をつけて浅瀬を覗き込む…。そしてふと立ち上がり、広い大地を、空を仰ぎ見る。沖合には干潟の上を滑るように進む大型タンカー。
特別生きものが好きなわけじゃないのに、なぜかこの“映えない風景”が心を鷲掴みにする。ここを訪れた多くの大人たちが、この“東京湾の奇跡の風景”に感嘆の声を漏らす。生徒たちはそんな大人を尻目に、時間を忘れて生きものたちと戯れる。他の干潟を、海の自然を、ほとんど知らない彼らが、長い時間を経て多くの自然と出会い、この風景が“探してもなかなか出会えない”と知る時、彼らはどこでどんな未来を選ぶのだろうか。
一人の発見が数名の感動になり、小さな驚きや楽しさが伝播して参加者もサポーターもない仲間ができてくる。
そんな時間のなかで、だんだん自分も周囲の人たちも、このグレーの大地を餌を求めて無心に動き回る生きものたちと同じように、小さく尊い命に思えてくる…。その先で、海の、地球の未来を一緒に考えてみたい。掴む種はなんでもいい。多様な種が芽吹く基盤に、この風景があることがきっと大きな意味を持つと思えるから。
それは、盤州干潟でなくてもいいのだろう。日本各地にこのようなメッセージを発する場所は数多くあるはずだから。ただ、できればそれは“参加者の生活”と密接した場所であってほしい。遠い誰かの生活を左右する場ではなく。その意味で、「盤州干潟」は首都圏の生活者にとってかけがえのない学習の場なのだと…私たちは、思うのです。
*【干潟HAKEENプロジェクト】では、サポーター、支援者を募集しています。
(実施者:海の環境教育NPO bridge /担当 伊東)

