大丸有SDGs ACT5 : 「アマモ場現地体験会」事後ワークショップ 【ブルーカーボン〜浅瀬の役割】

写真提供:古川恵太(海辺つくり研究会)

実施場所:盤州干潟(千葉県木更津市)見立て海岸休憩所
実施日:2022年11月20日

盤州干潟「アマモ場現地体験会」事後ワークショップ 概要

10月17日に都内で行われた『ブルーカーボンセミナー』、ワークショップの直前に実施された『盤州干潟 アマモ場観察会』と続いたイベントの一環として、ふり返りを兼ねた1時間のワークショップを担当させていただきました。

江戸時代には、東京湾(当時の江戸湾)の水ぎわを「アマモ場」と「海苔の養殖場」がぐるりと連なり、この“浅瀬の海”こそが東京湾の原風景と言われます。その風景が今も残るのが、千葉県木更津市にある盤州干潟です。

一方、政府が「2050年までに温室効果ガスの排出量を全体としてゼロを目指す」と宣言をした「カーボンニュートラル」。それにより、注目を集めているのが「ブルーカーボン」。

しかし、「二酸化炭素の削減」という数字の世界ではなく、本来持つアマモ場とそこに連なる浅瀬の多様な役割を理解してほしいという思いから、食物連鎖のカードゲームなども交えたワークショップを実施しました。

参加者の想像を超えた、盤州干潟や東京湾の魚介類の豊富さ、陸上同様に「海の生物の基盤を支える」のは、海草(アマモ)や海藻、プランクトンという「植物」であるということ。そして、浅瀬の消失はこの「海の植物」の生育場所の減少だけでなく、食物連鎖における「中位捕食者」の欠落にもつながり、結果として私たち人間の「食」の基盤を揺るがしている、という現実。それら、東京湾が抱えている問題と浅瀬のポテンシャルを、参加者(=周辺で暮らす都市生活者)とともに、自らの暮らしとつなげて考えてみました。

  • テーマ浅瀬の役割「ブルーカーボンと海の生物多様性〜2つの価値」
  • 目標「浅瀬の重要性」を確認する
  • 実施時間1時間
  • 対象者:大丸有SDGs ACT5「ブルーカーボンセミナー」参加者および家族 24名
  • 使用教材:海洋学習教材LAB to CLASS  https://lab2c.net 《海の生きもの、椅子取りゲーム》掲載教材「海の生きものカード」/《餌の餌の餌は何?》
  • 主催大丸有SDGs ACT5  https://act-5.jp
  • 受託元特定非営利活動法人 海辺つくり研究会
  • 協力木更津市観光協会DMO推進事業部

活動の様子

【アマモ場 現地観察会:盤州⼲潟浅瀬】 実施:海辺つくり研究会

⽊更津市沿岸に広がる盤州⼲潟は、江⼾時代から続く“東京湾の原⾵景”を今に伝える貴重な地域です。現在も広⼤な浅瀬を利⽤して、冬場には⼀⾯に“海苔ひび*”が連なり海苔漁が盛んに⾏われています。そして、その間に点在するのが、海の⼩さな森「アマモ場」です。そこは多様な⽣きもたちの住処。陸上とは異なる、⽣きものたちの宇宙が広がっていました。

【体験後 ワークショップ】 実施:特⾮)海の環境教育NPO bridge

◎アイスブレイク:海の⽣きものクイズ

ふり返りワークショップでは、最初にアイスブレイクを兼ねて、身近な海の生きものが描かれた「カード」を使い、生息場所や体の特徴などを学ぶクイズを実施。午前中のアマモ場の体験から少し離れて、海の生きもの全体に、そして自分と海の生物とのつながりに気づき、東京湾や盤州干潟を少し身近な存在に感じてもらいました。

◎海の⾷物連鎖「餌の餌の餌は何?」

東京湾には⼩さなエビや⾙類から、野⿃、ときには⼤型のクジラまで来遊することに驚き、さらにその多くが盤州⼲潟や沖合にいる!ことを知った後は、カード教材《餌の餌の餌は何?》を使って、海の⽣態系の仕組みを⼀緒に学びました。マイクロプラスチックがどのように⽣物に取り込まれていくのか、⽇本沿岸のバラエティに⾶んだ⽣物相、海ならではの複雑な「⽣態網」など。「⾷材」としての⿂介類が、⾃分⾃⾝と同じ命の「環(網)」のなかにある⽣命であることを再認識しました。

◎ミニレクチャー:⼲潟とアマモ場〜その構造と東京湾のポテンシャル

ワークショップの後半は、当⽇は潮が満ちていたため⾒ることができなかった盤州⼲潟の広⼤な⼲潟⾯とそこに暮らす⽣物の⼀端を写真で⾒ていただきました。そして、冷蔵技術のなかった江⼾時代に「江⼾前鮨」誕⽣を⽀えた東京湾(旧江⼾湾)のかつての環境と、都市化に伴った東京湾の変換と海の⾃然の変化などをお伝えしました。

最後には、⽊更津市観光協会から多様な地元の取り組みもご紹介いただき、ブルーカーボンで注⽬を集める「アマモ場」の保全から、少し視点を広げて“東京湾全体の保全と活⽤”を考える機会になっていただけたのではないかと思っています。


実施後の参加者感想、当日の進行表など、より詳しい「実施レポート(PDF)」は、こちらからご覧いただけます