鎌倉・江ノ島校外研修「イルカと海の仲間たち:森と海、私の暮らし 」

実施校:実践女子学園中学校

対象者:中学1年⽣ 258名

実施場所:
[校外研修] 鶴岡⼋幡宮、⾼徳院(神奈川県鎌倉市)、新江ノ島⽔族館・江ノ島⻄海岸(神奈川県藤沢市)
[事後授業] 実践⼥⼦学園中学校(東京都)

実施期間:
[校外研修] 2024 年5 ⽉13・14日(⽇帰り)
[事後授業] 2024 年5⽉15⽇〜6⽉5⽇ 1時限(50分)×2回

プログラム指導:伊東久枝・三好直⼦・浪崎直⼦(海の環境教育NPO bridge)、⼈⾒道夫(ネイチャーガイド ⾵の道)

概要

今年で3回目となる、『実践女子学園』の校外研修「鎌倉&江ノ島」。今回、1日(学年の半分が参加)は暴風警報が出るという悪天候に見舞われ、期せずして近年高まる「気候危機」を垣間見るような展開となりました。
『未来デザイン』という、中高一貫の取り組みとして行われている『持続可能な開発のための教育(ESD)』の最初の研修は、海と森の自然に触れ、歴史的な史跡を散策、水族館で生物観察を行うという盛り沢山な内容。その後学校で、「海と森の自然と、私たちの暮らしのつながり」というテーマで、クラスごとに2時限の振り返り(事後学習)を行い、海の自然や環境問題を“自分ごと”として捉えられるように働きかけるプログラムです。
今回は、鎮守の森として、また日本初のナショナルトラスト運動で守られてきた鶴岡八幡宮の森を、五感を使って体感してもらえるように…、また江ノ島水族館では目の前の海に潜水するイメージで、そこに暮らす海の生きものの多様性を認識してもらえるように…、新たな工夫を取り入れました。眼前に広がる深度1,000mにも達する海中世界と、そこにつながる森の世界のダイナミズムを、身近な存在として感じてもらうことに重点を置きました。

授業内容の詳細、参加者の感想、授業の進行表など、より詳しい「実施レポート(PDF)」は、こちらからご覧いただけます

活動の様子 

※以下は、「実施レポート」の一部抜粋です。

【校外研修】
カードを使って食物連鎖を学ぶワークショップの様子

*5 ⽉13 ⽇午前(⾬プログラム)
鎌倉での「大雨警報」発令のため、急遽予定を変更。午前中は学校でのワークショップを実施し、午後からの水族館での活動に繋げました。
まずは、LAB to CLASS教材《餌の餌の餌は何?》を使って、海の食物連鎖の仕組みと、日本近海の海の生物多様性を紹介。さらに東京都御蔵島に生息する野生イルカの実物大模型と、研究者が撮影した水中映像とを使って、イルカの体の仕組みや野生イルカの生態を学び、午後の活動の事前情報をバッチリ仕入れ、いざ鎌倉へ!

中学生が鶴岡八幡宮で校外学習している

【鶴岡八幡宮】*5月14日午前(基本プログラム)
鎌倉時代の社寺仏閣や史跡などが残る鎌倉はまた、一方を駿河湾に、三方を緑深い丘陵地帯に囲まれた、自然豊かな地です。そしてこの自然を生かした街づくりをしようと、行政としても早くからSDGsの取り組みを行なっている地域でもあります。とくに今年度は、鶴岡八幡宮で「森の自然を体感する」をテーマに、いくつもの仕掛けを取り入れました。

水族館の大水槽を複数の女子中学生が見ている

【新江ノ島水族館】5月13・14日午後
長い砂浜が続く相模湾中央部に位置する江ノ島を眺めて、穏やかな海中の世界をイメージしている人も多いと思います。けれど、外洋側には深海へと続く岩礁の海があり、ダイナミックな海洋生物の世界が展開されています。
その海を映し取るように作られたのが「新江ノ島水族館」。波打ち際から深海へと続く展示を順に見学すれば、それはまさに相模湾の海中世界の探検です。身近な海の世界の存在と、その生物多様性を体感してもらいました。

【事後学習 1回目】

学校の黒板に海の生きものを描いて学んでいる

【海の食物連鎖】
校外研修直後に実施した事後学習では、まず水族館で観察した3つの生物の特徴と疑問を発表。疑問に答えながら、生物多様性の一端を紹介しました。水族館で観察してきた生物から、海の食物連鎖についても考えてみました。

学校の授業で、実物大のイルカの模型を生徒に見せている

【野生イルカの暮らし】
事前学習(1日目の午前のワークショップ)をしなかったクラスでは、東京都御蔵島に生息する野生イルカの実物大模型と、研究者が撮影した水中映像とを使って、イルカの体の仕組みや野生イルカの生態を紹介しました。

【事後学習 2回目】
学校の授業の様子。多くの学生が手を挙げている

【海の生きものと人の暮らし】
たくさんの人が訪れる鎌倉の浜辺も太平洋の大海原に続いています。きれいに清掃された浜辺にもよく見ると生物の痕跡や、どこから流れ着いたのかさまざまな漂着物があることを、浜辺で行なった「ビンゴゲーム」を振り返りながら確認。その後、鶴岡八幡宮の参道から続く由比ヶ浜海岸で見られた漂着物を写真で紹介。

【海と森のつながり】
校外学習で散策した、鶴岡八番宮を包み込むように鬱蒼と繁る森は、海の生物を育む森。そして60年前、この森の開発計画が持ち上がった時にこの自然を守ったのは、当時鎌倉に関係のあった市民の人たちです。日本のナショナルトラスト運動発祥の地である鶴岡八幡宮の裏山は、「あきらめない」勇気と、自然に対する鎌倉の人たちの愛を伝えている森なのです。そんなメッセージも込めて、3日間のプログラムを終えました。


授業内容の詳細、参加者の感想、授業の進行表など、より詳しい「実施レポート(PDF)」は、こちらからご覧いただけます