⽇本の海と環境を考えよう
~ 中⾼⽣のボランティアグループ「VIOLET!!」海のワークショップ ~
実施場所:東京ボランティア・市民活動センター
実施日時:2024年7月28日 13:30〜15:30
概要
東京ボランティア・市民活動センター主催のボランティアグループ「VIOLET!!」は、学校の部活・同好会・生徒会または個人でボランティア活動を行っている、やってみたい!と思っている中高生のネットワーク。活動は1年単位でテーマを決めて、月に1回集って、情報交換をしたり、一緒にボランティア活動をしたりしています。今年のテーマは「環境」「福祉」「動物愛護」の3つ。このなかの「環境チーム」が海のプラスチックごみ問題に取り組むということで、ゲストティチャーに呼ばれ、ワークショップを行いました。
オーダーは「海のプラスチックごみ問題」でしたが、そこに焦点を合わせる前に、「日本の海の豊かさ」や「森と海、私たちの暮らしのつながり」を知って欲しいと思い、LAB to CLASSの教材や動画などを使って話題を提供。その後、海の環境改善のためにできるアクションを考えました。
環境問題やボランティアに関心が高い高校生や、サポーターの大学生が参加したワークショップは、少人数でしたが意欲的で、「今後のアクション」のメッセージも、思いのこもったものが多く見られました。
- テーマ:日本の海と生物多様性/海と森のつながり/海洋プラスチックごみ問題
- 体験者:高校〜大学生 7名
- 使用教材:
1)海洋学習教材LAB to CLASS 《実物大のイルカをつくろう!》実物大イルカ模型、《餌の餌の餌は何?〜海の食物連鎖 北の海/磯・外洋/サンゴ礁》
2)動画『私たちの暮らしと海』 提供:若築建設株式会社 ①森と海のつながり ②海洋プラスチックごみはどこから来たの? - 協力:若築建設株式会社/御蔵島観光協会
活動の様子
日本の海の、生物多様性
さまざまな生物が描かれたカードから、異なる10種の食物連鎖を見つけ出し並べてみると、そこにはラッコやトドが棲む北の海から、色鮮やかな生物が生息するサンゴ礁の海まで、日本の多様な海の様子が浮かび上がります。
そして「つながり」の中で育まれる命と、基盤となる海の植物「プランクトン/海藻」の大切さ、マイクロプラスチックが生物に取り込まれる仕組など、多くのことを実感します。
野生イルカの暮らし
東京都御蔵島に生息する野生イルカの実物大模型と、研究者が撮影した水中映像を使って、イルカの体の仕組みや野生イルカの生態を紹介しました。
水族館で見慣れたイルカが、東京からほど近い海で独自の社会を持って暮らしていること。その様子を知ることで、私たち人間の暮らしは多様な生物の社会と隣り合わせに、この地球を共有しながらあることを感じてもらえていたら嬉しいです。
森・町・海のつながりと海洋プラスチックごみ問題
かつて4大工業都市といわれ日本の近代化を牽引した北九州市の、海の水質悪化と再生、そして新たな「海ごみ」問題。これらは海だけの問題ではなく、森と海の間で繰り返される水の循環と大きく関わっています。そして、その仕組みは北九州市独特のものではなく、東京をはじめ、日本の多くの地域も同じです。
昨年、bridgeが制作を担当させていただいた2本の動画でその仕組みを紹介し、自分たちの問題をして考えてもらいました。
アクションを考える
ゲームや動画で、海の世界や環境問題を楽しく学んだ後は、今日の体験からの気づきをまとめました。そして、未来の美しい海のために「今日から(個人で)やろうと思うこと」「仲間と一緒にやれそうなこと」「社会にあったらいいと思うこと(作りたいこと)」を、それぞれ考え、グループ内でシャアしました。 まだまだ言葉になりきれない思いも、これからの「VIOLET!!」の活動に、きっとつながっていくことと思います。
参加者感想(抜粋)
●印象に残っていること(びっくりしたことなど)
・タコを食べる動物が人間以外にいたことを初めて知りました
・イルカが、人間が近づくと移動したり威嚇したりと、様々な行動をするのが興味深かったです
・イルカがプラスチックで遊んでいるのがショックでした
・プランクトンの生態など、新しい知識をゲーム感覚で学べて楽しかった
・ある動物がいなくなってしまうと、生態系が崩れてしまうので、どの生物も欠かせない存在
・たった一つのものが欠けると生態系が崩れることを知り、人間は生態系を守る役割があると気づいた
・環境問題を乗り越えた都市を知り希望を持てた
・森が海に与えるものや、工業地帯として公害が問題となった地域の現在を、動画で分かりやすく学べた
・日本周辺の海 すごい!!
・環境問題が人間だけでなく、他の動物にも影響を与えているということを知れた
実施後の感想(実施者:海の環境教育NPO bridge /担当 伊東)
食物連鎖、野生生物の世界、森と海のつながり、多様な海洋プラスチックごみの発生源等、多様な話題を入れ込んだ構成で、参加者に十分伝わるか心配していましたが、振り返りやアクション案をみると、多種多様な意見があり、個々の興味で海の問題を自分ごととして捉えてくれたことが伝わってきました。
とくに、「社会にあったらいいもの」の問い書かれた「ポイ捨てしない人の気持ち」というコメントは、参加者の感性の豊かさを感じるとともに、環境教育の根幹に触れる素晴らしい経験となりました。
ワークショップ内容の詳細・スケジュール等、より詳しい「実施レポート(PDF)」は、こちらからご覧いただけます